2016年12月23日

思い出す 忘れない


2016年もあと少しで終わりです。
年末年始も変わらず仕事なので、イマイチ年末感には欠けますが、しみじみとした気持ちにもなります。

介護の仕事をちゃんと始めてから(その前からボランティア的なことはしてた)、今年で13年。
お見送りもたくさんしています。
もう会えない人たちを、なぜだか思い出す季節。

(以下は「死」のことを書きます)

介護の仕事のメインのお客様(利用者さん)は、お年寄りの方々。介護保険を利用されているので、「元気一杯!頭もシッカリ!」な状態のお年寄りとは、少し違った状態の方々です。

私の介護職のスタートは、在宅介護です。お宅を訪問して、生活のことやお身体のことをサポートする仕事。
一般的にはヘルパーさんと呼ばれています。
お宅でいつも会っていた利用者さんが亡くなる、という体験を初めてしたときには、大きな衝撃と悲しみがありました。
その後、今に至るまで、たくさんの利用者さんの死を体験(変な表現かな)していますが、多分ずっと慣れることはないでしょう。
医療職ほどではないのですが、介護職も人様の「死」に接することの多い仕事です。


特別養護老人ホーム(以下、特養)は、要介護度の高い利用者さんばかりなので、高齢者介護施設の中では、最も死が身近にある施設かもしれません。
ターミナルケア(終末期のケア)の方が、常に何人かはいらっしゃる特養も多いと思います。
また、直前までいつもとお変わりなく過ごされて、突然亡くなる、ということも、特養では結構起こります。

私が特養で働いていたときに、入居されていたNさん。女性です。80代後半だったかな。
Nさんは、ベッドにいるときは寝たきり。ベッドから介助で車椅子に移られ、食堂で食事やおやつを召し上がっていました。
そして食堂では、割と常に帽子をかぶられていました。つばが広くてお花の飾りがついた、エレガントな帽子。
その姿をみた私の第一印象は「何て可愛い人なんだ!」。キューンとしました。
Nさんが車椅子に移られた時点で、ベッドの近くに置いてある帽子を手にとり、ご自身でかぶられていたのだと記憶しています(私はご本人に渡していたかも。記憶が曖昧です)。

帽子をかぶったNさんをみるやいなや、「食べるときは帽子をかぶらないの!」と、帽子をとってしまうスタッフもいましたが、私は「似合ってて可愛いし、ご本人がかぶりたいんだから、とらなくてもいいのに」と思ってました。お帽子姿のNさんをみるのが、仕事中の楽しみだったので。

Nさんはペースト状の「ミキサー食」を、スプーンを持って(基本は介助なしで)きれいに召し上がっていました。
あまり言葉を発することはなく認知症状もあり、でもこちらの問いかけにうなずいてくれたり、穏やかな表情をしてくださっていました。

遅番で入ったある朝、Nさんが食堂のいつものお席にいません。
昨晩亡くなったよ、と伝えてくれる早番のスタッフ。

前の晩、いつものようにご飯をきれいに召し上がり、お薬をお変わりなく飲まれ、歯磨きもされたそうです。
歯磨きの後、テーブルにつっぷしておられるNさんに、夜勤スタッフが「ベッドに行きましょう」と声をかけたところ、亡くなっていたそうです。

その場にいた夜勤スタッフは、とても大変です。
ナースは帰ってしまい、他の皆様(30名様くらいを夜勤2人と一部遅番で介助)のトイレや就寝介助なども佳境に入る時間です。
介護をしつつ、亡くなった(と思われる)Nさんの対応をしつつ医療や各所に連絡しつつ、指示を待ちながらも、今そこにいるスタッフが判断して動く場面もたくさん…書いてるだけで、すごくハード!…だけど、スタッフも鍛えられています。
夜間帯に起きることが多いので、経験値が上がっているスタッフは強い。

翌朝にNさんの訃報を聞いた私は、夜勤者の大変さを思いながら、とても悲しくて寂しい気持ちで一杯になりましたが、一方で、Nさんらしい、いい亡くなりかただな、とも感じました。
ご飯をおいしく自分で食べて歯磨きも済んで「さあ寝よう」という直前まで、いつもと変わらずにいたのが、いいな〜って。

長いお付き合いではなかったNさんです。
でも、あの素敵な帽子をかぶって食堂にいたNさんの姿。今も目に浮かびます。

冬は、東京でも夜空に星のきらめきがみえます。見上げていると、亡くなった皆さんのことを思い出すのかな。
みんな、みてくれているような気がするのです。
(勝手な思いだな〜)
忘れないです。皆さんのこと。


今回の記事のタイトルは、ハイロウズの「千年メダル」にある一節。
ヒロトがつくった歌。いい歌です。


posted by みつこ at 23:30| Comment(0) | 介護の仕事やお年寄りの話 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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